症例(胃がん)

説明不足が がんの不安を駆り立てる

胃の集団検診で異常を指摘されました。
X線の精密検査を受けた結果、胃の体中部に腫瘍があることが分かりました。そして、それがどのような腫瘍か、悪性か良性か、などについて何の説明もないまま内視鏡検査が必要と言われ、紹介状(診療情報提供書)が渡されました。
X線写真を持参して某病院を訪れ、内視鏡検査を受けることになったのですが、そこでも説明が全くなく、ただ「何月何日に検査をします」と言われただけでした。
「これまで何も説明がされないのは、医者は明らかに胃がんと分かっているけれども、言いづらくて告知を先送りにしているのであろう」と思い、不安になりました。
居ても立ってもいられなくなり、恐る恐る返却されたX線写真の袋を開けてみたところ、中に紹介状とX線検査の報告書がありました。見るとそこには悪性の項目番号が記載されていました。「やっぱり胃がんだったのだ」と思った途端に頭の中が真っ白になり、それと同時に、診療情報提供書がX線と一緒に返されていることに怒りを覚えました。「医者は資料を真剣に見てくれてたのであろうか。悪性なのにインホームドコンセントがなっていない。」
それらの資料を持って相談に来られました。よく見ますとX線写真では 胃がん ではなく粘膜下腫瘍です。また報告書にも悪性とはされていません。報告書の見方が間違っていたのです。これほどまでに患者さんを不安に落としいれ、不信感を抱かせたのは何故でしょうか。
言うまでもなく医者の説明不足に原因があります。内視鏡検査の前にすでに粘膜下腫瘍と診断されていたのです。粘膜下腫瘍は殆んどが良性で、しかも粘膜の下に存在しますから内視鏡は役にたちません。にもかかわらず検査結果を説明しないで内視鏡検査が必要とだけ言われたので、患者は がん と思い込んでしまったのです。
がんの悩みが、医者によってもたらされた例です。
改めてインフオームドコンセントの大切さを思い知らされました。

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